1話

1/1
前へ
/2ページ
次へ

1話

 現在時刻:午前2時43分。  眠れない。    眠たいのに、目と頭が冴えてる。  寝る前のスマホは、睡眠不足の原因になるのは分かっているのに、無意識に手が伸びる。  そして無意識に、Twitterのアプリを開きスクロール。  見終わると今度は漫画アプリを無意識に開き、漫画を読み漁る。  そこで私に悪魔が囁く。  “コレ怖そうやな読んでみようや”  少し残ってる理性が反論する。  “あかんって絶対。やめなさい。自分怖いのん読んだらまた寝られへん様になるで”  更に悪魔が優しい声で囁く。  “そんなに怖くないかも知らんやん?ちょっと読んでみてホンマに怖そうやったらやめよ?な?”  ここで少し残っていた私の理性は、私より先に眠りについてしまった。  “すぅ……。”  1ページ、2ページ、3ページ。  (だ、大丈夫。まだ怖くない。)  4ページ、5ページ、6ページ。  (あ、ちょっと怖い……。)  7ページ、8ページ、9ページ。  (やばい、怖い。しまった、見るんじゃなかった。手が止まらへん。)  怖いのに、続きが見たくなってしまう。むしろ続きを見て結末を知らないと気になって寝れない気がする。  でも、結末を知ってしまっても怖くて寝れない気がする。  そんな葛藤を繰り返しながらも、私の愚かな指先は止まらない。  10ページ、11ページで第1話が終わった。  (読み終わった……。)  しかし、物語が途中で終わった為、物語の結末を知るために第2話に指先が伸びる。その物語も途中までで終わった為、また3話4話と読み進めてしまい、結果的にその作品を1つ、一気に全部読み終わってしまった。  案の定、怖くて更に寝付けなくなってしまった。  こんな夜中に、私の悪魔とホラー作家の(てのひら)で踊らされてしまった愚かな私。  あゝあの時、かろうじて残っていた少しの理性に従えば良かった……。  現在時刻:午前3時47分   
/2ページ

最初のコメントを投稿しよう!

5人が本棚に入れています
本棚に追加