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カムパネルラとジョバンニは、父親同士が仲が良く、カムパネルラの家にも遊びに行ったことが何度かある。カムパネルラの父親は星博士と呼ばれる天文学者であり、家の本を自由に読んでいいと言われていた。
ジョバンニとカムパネルラはよく一緒に星の本を読んで、あの星はかっこいい、あの星は今はもうないらしいなどと言いながら、当時から仲良く遊んでいたのだ。
しかし学校で必ずしも仲がいいというわけではない。ザネリとカムパネルラは友達だが、ジョバンニとザネリが友達と呼べる関係ではない。むしろ話しかけてほしくないとジョバンニは常日ごろから思っており、そのせいでカムパネルラとも学校ではある一定の距離を保っていた。
星祭り当日。ジョバンニはいつも通りバイトに行くため教室を飛び出すと、カムパネルラやザネリたちはすでに玄関の辺りで集まり、今日のことを話し合っていた。
カムパネルラたちを横目にバイト先へ向かうジョバンニ。そっと振り返るとカムパネルラがこちらを見ているのがわかったが、ジョバンニはそのまま走り去った。
バイトから帰宅したのはすでに夜で、母親の具合を見てから丘に出かけようと思っていた。母親の具合はよかったが、なぜかミルクが配達されていない。
「母さん、ミルク届いてない?」
「今帰ったの、ジョバンニ」
「うん、ただいま」
「ミルクはまだ届いてないよ」
「そっか、忘れたのかな。丘に行くついでにもらってくるね」
「ええ、よろしく。今夜は星祭りね」
「うん。しかもスターリンクも見えるはずなんだ。ランタンに星、スターリンクなんてずいぶん贅沢だと思わない?」
「そうね。母さんも見たかったなあ」
「スマホで写真も動画も撮ってくるから、帰ってきたら見せるね」
「そう、よろしくね」
ジョバンニの母親はベッドの上からにっこりと微笑む。
「今日は体調がいいの。もしかしたらお父さんが帰ってくるかもしれないわね」
「僕もそれ思ってたんだ!楽しみだね。じゃあ、行ってきます!今夜は少し遅くなるけど心配しないでね」
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