48人が本棚に入れています
本棚に追加
シャワーを浴び終えて髪を乾かしてから黄色いTシャツにデニムをはく。山辺さんが目を細めて「いい匂いがする」と言った。
テレビはまだ新しい法律の話をしている。あと2キロで多重結婚が許されるのか。でも瑠々は男性経験がないしキスしたのだって昨日が初めてだ。
山辺さんのスマホから着信音がした。
「岩崎だ。いったいなんだろう」
「出たほうがいいですよ」
瑠々がそう言うと山辺さんはスマホをタッチして耳にあてる。
「皆んなで昼食を食べる?ああ、所長も居るのか」
岩崎くんが何を言ってるのか分からないが皆んなビジネスホテルから出て合流したんだろう。
「キャバクラはどうだった?殆ど覚えてないのか。だいぶ飲んでたからなー」
瑠々は可笑しくなる。キャバクラで大金を使ったんだろうに覚えてないだなんて面白い。
「ファミレスに居るのか。俺は行けないよ」
土曜日だからファミレスでお昼を食べるんだろう。
「今、瑠々ちゃんのマンションに居るんだよ。そう、泊まったんだ。嘘じゃないかって?じゃあ瑠々ちゃんに代わるよ」
えっ、山辺さんたら言っちゃった。泊まっただなんて。聞いた人は身体の関係があったと誤解するだろう。
「瑠々ちゃん、岩崎が代わってだって」
瑠々は仕方なくスマホを耳に当てる。
「もしもし」
「もしもし、昨日あれから山辺さんが泊まったんですか?」
「はい、カラオケの流れで泊まることになりました」
「まさか、こんなことなら俺もカラオケで残ればよかったです。俺がトイレに立ったとき決まったんでしょう。山辺さんがキャバクラに来ないから所長に聞いたら瑠々さんと一緒だって。戻りたかったけど、まさかこんなことになるとは思わなかったから」
最初のコメントを投稿しよう!