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「今日はこれから映画に行くんですよ」
「映画なんていつでも行けるじゃないですか。こっちは切羽詰まってるんです。好きな人が他の男に取られてしまったんだから。あっ、でもまだ寝たわけではないんですよね」
「はい」
「じゃあ、尚更だ、カラオケに行きましょう、ねっ」
山辺さんはあまりの岩崎くんの必死さに打たれたのか「カラオケくらい行ってもいいよ。だけど、歌うだけだからね」と言った。
「岩崎くんと二人きりで行ってもいいんですか?」
「ああ、瑠々ちゃんの俺への愛を知るためにも他の男とカラオケするのはOKとしよう」
じゃあ映画はなしだ。でも昼間からカラオケなんて絶対にお酒を飲んでしまう。素面でカラオケ屋さんにいてもつまらないだろう。
「そうと決まればお昼を食べましょうか。所長、佐藤さん、待たせてしまって申し訳ありません」
岩崎くんは嬉しそうに言った。
ドリンクバーとタンドリーチキンのピラフ添えを皆んなで注文した。瑠々は肉が好きだ。高校時代は親によく焼肉屋さんに連れていって貰った。何人前食べていたんだろう。一人前では全然足りなかったっけ。瑠々は思い出すと早くご飯が食べたくなった。
料理が来るまでドリンクバーを2回お代わりをした。飲んだ翌日は喉が渇く。脱水症状になっているんだろう。
「それにしても瑠々ちゃんはモテるね」
所長がウーロン茶を口に運びながら言う。
「モテたことなんて今までなかったんですけどね。彼氏だって出来たことなかったんですよ」
「最近はふくよかな女性がモテるらしいみたいだね。俺の息子の彼女もポッチャリしている」
所長は50代だ。子供は20歳、瑠々の5歳下。20代の5歳は大きい。
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