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二人はグラスを合わせる。それから仕事の話や家族の話で盛り上がった。岩崎くんはお兄さんがいて消防士をしているそうだ。岩崎くんはお兄さんのことが大好きでよく一緒に飲みに行くんだという。
「今度さ、お兄さんを紹介しますよ。俺に似てなくてカッコいいんですよ」
岩崎くんも顔の作りは悪くないし、体格だっていいのに。
「岩崎くんもカッコいいですよ」
「うそ、そんなこと言われたら勘違いしちゃうじゃないですか」
「勘違い?」
「ええ、俺のこと満更でもないのかなって」
「……」
「キスしていいですか?」
そう言いながらも岩崎くんの顔は瑠々から10センチくらい離れたところまで近づいている。
「ちょっ、ダメ」
「キスだけ、お願い」
岩崎くんはサッと瑠々の唇に唇を合わせた。
「俺、マジで瑠々さんが好きなんです。山辺さんは二股ですよ。だってこの前お昼を食べに行ったとき、彼女と結婚するつもりだって言ってたんですよ」
瑠々は頭をガーンと殴られたような気持ちになった。
「それって本当?」
「はい。あ、生ビールお代わりしますか?」
ジョッキは空になっている。昨日の今日で飲みすぎだ。でもこんなことを聞いたら飲まずにはいられない。
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