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「あの、私が奢りますんで夕飯は焼肉にしません?」
瑠々は焼肉だったら無限に食べられる自信がある。カルビ、牛タン、ハラミ、ロース、レバー、好き嫌いはない。たくさん食べれば太るだろう。
「焼肉くらいだったら俺が奢りますよ。駅前の「煉瓦」はどうですか?」
「煉瓦」は高級焼肉店だ。瑠々は行ったことがないが噂だけは聞いている。それに夢で「煉瓦」に行ったこともある。夢の中では食べられなかったが現実に行けるなんて。
二人はラブホテルを出た。狭い道を駅に向かって歩いていると体格のいい大きな男が岩崎くんにぶつかった。
「なんだ、ラブホテル帰りのカップルか?気をつけろよ」
「すみません」
「骨が折れちゃったみたいだな。慰謝料10万でいいよ」
瑠々はかあっと頭にきた。岩崎くんはそんなに強くぶつかってないし、そもそも体格はこの男のほうがいい。
「言いがかりはやめてください」
瑠々はそう言って「行きましょう」と岩崎くんの手を握った。
「待てよ、逃げる気か?」
瑠々はしかとをして歩きだす。
「おい」
男性は瑠々の肩を掴んでニヤリと笑う。
「随分いい匂いをしてるじゃないか。昼間からお酒を飲んでセックスか」
「離してください」
男性は瑠々の胸を鷲掴みにする。
「俺にもやらしてくれよ。姉ちゃん締まりがよさそうだ」
瑠々は男性の腕を掴んで道路に投げつけた。女でも柔道の黒帯だ。
「痛っ、なにする」
男は尻もちをついたまま後ずさりをした。瑠々はその腕を掴む。
「警察に行きましょう。先にそっちが胸を触ったんですから」
「悪かった、謝るよ。そうだ、慰謝料を渡そう、10万円でいいか?」
男はバッグから財布を取り出す。
「ふんっ、舐めないでよね」
岩崎くんは茫然とその様子を見ていたが、男が去って行くと瑠々に抱き着いた。
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