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「ねえ、ねえ、体重一キロにつき住民税が100円アップするんだって」
「あっ、ニュースでやってたね」
「50キロ以上から対象なんだって。痩せている人はセーフ。50キロ未満は上乗せにならないらしいよ。お母さんなんか60キロもあるから1000円の上乗せー。家族単位で考えると痛いよね。男は仕方ないけどさ、でもデブが生きづらい制度になったよ」
「だけど、デブが困らないように対応策もあるらしいじゃん」
瑠々はこの話が政府で出ていることを知っていた。けれどまさかそんな案が通るとは思っていなかった。瑠々は75キロ、2500円の上乗せだ。絶対に今日の飲み会で話題がのぼる。会社でデブなんて言われたことはないが、皆んなは瑠々のことを逞しくて強そうだねという。気を遣ってくれているのは分かるが遠回しにデブだと言われているようなものだ。
瑠々は一番に居酒屋に着いた。「津軽」は小さい店だからテレビが棚の上に置いてある。お客さんが飽きないようにだ。そのテレビでも総務省のお偉いさんがインタビューを受けていた。
「体重によって住民税の納付額を変える案が来月から施行されます。体重の重い人はそれだけでエレベーターやエスカレーターに負担をかけてますし、道路を歩いてもアスファルトに負担をかけます。それに電車に乗っても場所を取っています。細い人と同じ住民税には出来ません」
瑠々はため息をつく。働いているからそれだけでも多く税金を払っているのにその上体重で加算されるなんて。
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