48人が本棚に入れています
本棚に追加
山辺さんが「こんな法律が出来るなんて日本の未来は大丈夫かな」と呟く。確かにそうだと瑠々は思う。
重苦しい雰囲気になってしまって困っていると所長や、新人の岩崎くんたちが暖簾をくぐってやって来た。
「瑠々ちゃんと山辺さん、早いね。俺たちはビジネスホテルにチェックインしてからシャワーを浴びてきたので遅くなっちゃったよ。事務所の中は涼しいけど、外は蒸し暑いからすぐに汗をかく、ビジネスホテルまで歩く間に皮膚がベタベタになった」
「そうですか。私も浴びたかったな」
「瑠々ちゃんはキャバクラに行かないだろ。俺たちはキャバクラで汗臭いって言われるのが嫌なんだ」
そうか。山辺さんは来たの早かったけど定時であがったみたいだったからシャワーを浴びて来たんだろう。髪がサラサラだ。心なしかシャンプーの香りもする。
「さあ、飲もう、全員生ビールでいい?」
所長が皆んなの顔を見回す。十人全員が座っている。女性は瑠々ともう一人、同じ事務をしている永田さんだけだ。永田さんは26歳で芸能界にでもいそうな髪の長い可愛い人だ。永田さんの話では大学時代から付き合っている人がいるという。
「瑠々ちゃん、普段お金を気にして飲めないからこういう機会にたくさん飲もうよ。飲み放題っていいよね」
永田さんがリップグロスで艶々の唇で笑みを浮かばせながら言う。永田さんはお上品なお嬢様だ。今日も親が迎えに来てくれるらしい。だからカラオケまで付き合うのは女性で瑠々だけだ。
最初のコメントを投稿しよう!