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「そうですね。明日は何の予定もないので飲んじゃいます」
山辺さんが頬をあげて笑う。
「瑠々ちゃんは強いから安心して飲ませられるよ。快気祝いに来てくれてありがとう」
「差し歯、大変でしたね」
「ああ、俺の親父は魚の骨が腸にささって入院したんだ。親子して間抜けだよな」
「そうなんですか?魚の骨って痛そう」
瑠々はそう言って目を大きくする。
テレビは7時なのでニュースからバラエティー番組に変わった。お笑い芸人がMCをしていて太った女芸人がスポーツテストをやるという。
「寧々ちゃんは運動神経がいいでしょ」
所長が運ばれて来た生ビールのジョッキを傾けながら言う。
「いえ、柔道が得意なだけで走ったりするのは不得意ですよ」
「俺は陸上部だったんだ。マラソンの選手だよ。今は市のマラソ大会に出るけど、あのころみたいなタイムはだせないなー」
「私も高校時代みたいな動きは出来ないと思います」
山辺さんが「ふふ」と笑う。
「俺は剣道部だったんだ。中学高校とやっていた。一段だよ。剣道部と柔道部が戦ったらどっちが勝つかな」
それは男性の方が有利だろう。それに剣道部は竹刀という武器も持っている。組む前に頭を叩かれたらおしまいだ。
「剣道部じゃないですか?」
「そうかなー」
話題が新しい法律のことに触れないので瑠々はほっとしていた。住民税と多重結婚、どちらもいい話題じゃない。
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