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「ただいまー」 アパートに帰ると、先に帰っていた彼氏の青山大貴がキッチンに立っていた。 「もう直ぐご飯できるよ」 「ありがとう、今日、早かったんだね」 大貴は院生で、私が大学3年の時、カフェレストランのバイト先で知り合った。 料理が好きで、バイトも厨房に入っていた。 しばらくして付き合う様になり、同時に卒業。就職後に大貴が本社で半年の研修期間を終えると神戸に配属になったので、遠恋を4年した。 そして、彼がこの街に戻ってくるタイミングで同棲を始めた。 その頃、年々重くなっていた生理痛も限界に近づき、私の身も心もボロボロで、よく4年も遠恋が続けられたと思う。 一緒に暮らし始めて、前職を辞めるまでの半年。もう、27歳だし、結婚してくれないかと思った事もある。 でも、私の身体を心配し、残業でたまった家事や再就職の応援はしてくれても、彼はその一言を言ってくれることはなかった。 手を洗って、仕事用のブラウスとスカートから部屋着に着替える。同棲が決まって、奮発して買い替えた部屋着は、もう毛玉だらけだ。 次は量販店の安いのを買うと思う。 「今日は魚かぁ。美味しそう」 フライパンからは、アクアパッツァのいい匂いがしている。 「盛り付けるから、テーブル拭いてくれる?」 「はーい」 言いつけ通り、台拭きでダイニングテーブルを拭き、コップに麦茶を注いで並べる。
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