プロローグ

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プロローグ

 横浜の海は、まぁあんまり綺麗じゃない。  綺麗じゃないけど、溢れんばかりの夏の日差しの下、入道雲はもくもく、空は気を失いそうな青! となると、そんな海もキラキラして見えたり。 (それに比べて私というのは……)  ぼうっと……赤煉瓦倉庫の近く、横浜港のフェンスに寄りかかり缶ビール片手に空と海を眺めてる私というのは、この爽やかな空間にとても異質。  でもいいじゃないですか。  しょうがないじゃないですか。 (……まさか、会社潰れた上に彼氏と別れるとは)  ひどい。  神様いるなら、ひどい。  と、そこまで考えて──私は深く考えるのを放棄した。  深いのも暗いのも、苦手なんです。  ぐいー、とビールを飲み干して、鼻歌。  晴れてるし。  ビール美味しいし。まぁ量は飲めないけれど(理由はちょっと破廉恥なひみつ)。  観光客が不審な目を向けてくるけれど、別にいい。こんな日くらいは、許されていいはずだ。  なんてことをぼうっと考えてると、ぽん、と頭を叩かれた。 「……ん?」  振り向くと、白い男の人がいた。
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