う、運動会……?(塩原視点)

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 そうよ、負けてない。全然。  あとはどうアピールしていくか……。  なんて考えていた矢先、というか宣戦布告のその翌日。  取り引き先の人を迎えに行った長崎市内のホテル、そのロビーであたしと鮫川夫妻はバッタリと遭遇した。 「……あ」  戸惑うような、奥さんの視線。  鮫川一尉はきりっとした顔で「奇遇ですね」と淡々と言う。それだけで胸がキュンとした。  奥さんはあたしをジッと見つめている。  あたしは敢えて姿勢を正す。  どう? なんて思う。胸だって大きいし、腰だって細いし──「確かに、足は速そうですね」。 「……へ?」  いま、奥さんが言った内容が、……一瞬理解できなかった。足が……速い? 「確かに」  鮫川一尉も頷く。 「失礼ですが、50メートルのタイムは」 「……は? あの。7秒半……くらい、でした……」  高校のときですが、と言い添えて。  奥さんは「7秒台だー!」と驚愕した。  ……え、そこ? え?  ていうか、なに? 「どうしよう康ちゃん!」 「落ち着け凪子、しかしパン食い競争は単純なタイムじゃないぞ」 「でも塩原さん背も高いしっ!」
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