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ぶわっと冷や汗が溢れる。
震える手でスマホを持って画面を見てみると、暗転した画面にこちらを凝視する死神の姿が映っている。
気づかれてる……!!
ガタン、と音がして思わず前を向くと、先程までスマホをいじっていたはずの友達が虚ろな目で立ち上がっていた。
「ど、どうしたの?もう少しで飲み終わるから、待っててよ…。」
「いま…あそこにぃ…ゆうこいなかったァ??」
「え?」
「ゆうこ」というのは友達の一人だ。しかし今日はバイトで忙しいからここにはいないはずだ。なのに友達は嬉しそうな顔をして席を立った。
「みて、くるねぇ。だいじょおぶ、すぐもどる、からぁ。」
「ま、待ってよ。ゆうこは今日バイトでしょ?見間違いだって、座ってよ!」
「うふ、うふふ、うふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふ」
「ねぇ、ねぇったら!!」
手をつかんだのに彼女は止まらない。ずっと外を見て笑い声をこぼして…外?
ハッとして彼女の視線をたどる。そこは…交差点だ。
時計を見れば、11時55分。ここから交差点までは5分あれば十分だ。
「ねぇお願いまって!あと5分、5分でいいからここにいて!」
「あは、あはははははははははははは、ははは、はははははははははは??」
「だめ、待って!!!」
手を振り払った友達がカフェを出ていく。慌ててそのあとを追いかけると、ふと私の足元に影が射した。不思議に思って、一瞬上を見上げる。するとそこには、鎌を振り上げた死神と、それに重なるようにして降ってくる、この店の看板…………
「なんで」
ぐしゃっ
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