死の回避まで、あと 分

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 物心ついたときから、視界の端に黒い布のようなものが見えていた。  それが黒いボロを着た骸骨だったと気づいたのは10歳の頃。  骸骨が死神だったのだと気づいたのが、つい2年前のこと。  そして、その死神に友達が狙われていると気づいたのが、3日前のことだ。  「ねぇまだ飲み終わらないのー?もうとっくに冷めてるでしょそれ。」  「いいじゃん、今金欠だから味わって飲みたいの。もうちょっと待ってよ。」  「もー…あとちょっとだからね?」  諦めた友達が、取り出したスマホをスイスイといじりはじめる。よかった、怪しまれなかった。友達にも…この、死神にも。  チラッと死神の方に目を向けると、何か帳簿のようなものを見つめていた。最近気づいたことなのだが、あの帳簿には死神が殺す人の名前と、どうやって死ぬのか、いつ死ぬのかが書かれているらしい。  今日友達は、午後12時丁度、ここからでてすぐの交差点で車同士の衝突事故に巻き込まれる。時計を確認すれば、現在11時53分。  あと7分。7分だけ耐えることが出きれば、友達を救うことが出きる。  あえてゆっくりとカフェラテを飲み、友達との会話を途切れさせない。大丈夫、このあとの勘定の時間と店を出るまでの時間を合わせれば余裕で回避できる。  よかった、と気を抜いた、その瞬間。
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