Time out

Time

　時間がない。

　慌てながら私はその手を止めない。

　なぜ、こんなことになってしまったのか。

　そう後悔しながらも、私自身、嗚咽を吐きそうなほど、声をこらえ手を進める。

　こんなことになってしまったなら、もう少し、このことに目を向ければよかった。

　後悔しながら、涙をこらえ、嗚咽を吐きながらその手を止めようとしない。

　この手を止めてしまえば、死んでしまう。

　そのような恐怖心を抱きながらも、今までの私自身の愚かな行動を走馬灯のように思い出す。

　くそっ、こんなことをしているのならもう少し、まともなことをしていればよかった！

　心の中で、そう悪態をつきながら私は目の前の状況を処理すべくさらに作業を進める手を速めてみる。

　あぁ、だめだ。間に合いそうにない！

　時計を見て、私は驚愕しながら背後から聞こえる徐々に近づいてくる死神の声を怯えながら止められるべき手を止めようとしない。

　いやだ。いやだ。もう少し生きていたいんだ。

　そう慌てながらも、私は必死に思考を張り巡らされ、徐々に徐々に、ほんの少しでも目の前の状況を処理する手を速めてみる。

　はぁ、はぁ、やばい。やばい。

　たった一人残された部屋の中で、私は荒い息を吐きながらカチッ、タンッ、と音を軽やかにならしながら私はその手を止めようとしない。

　カチッ、カチッ、

　私の死期が徐々に近づくように、時計の針は成り続け私はその手をさらに早く進める。

　残り時間、あと30分。間に合うか！？

　この時間を超えてしまえば私は死んでしまうと、嘆きながら、目の前の状況を見る。

　手が痛い。頭が痛い。目が痛い。

　既に私自身のあらゆる所が痛くなっており、今すぐ休めと警鐘を鳴らす。

　あと、10分。間に合うか！？

　心臓の鼓動がうるさく感じる。血流の流れも今じゃ、邪魔とでも思えてしまう。

　五分、あと五分、間に合え。間に合え。

　ぼろぼろになった手を止めようとせず、完全に崩壊するまでその手を止めようとしない。

　あと、30秒！！

　ラストスパート。私は、作業を工程を大至急に再確認しながら私は完了のボタンを押すかのように、確認のボタンを押して、神に祈るかのように、手を握った。

『確認しました』

　私はその文字が見えた瞬間、安堵と共に先ほどまで背後にいたであろう死神の気配を感じなくなった。