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「2人で星見に行かない?」
と大樹に誘われたとき、私は、ついにこのときが!――と喜んだ。
高1のときからずっと仲良いのに、進みそうで進まない関係で、気づけばもう高3の夏。
満天の星の下でいよいよアイノコクハクだなんて、最高のシチュエーションだ。
こういう系鈍いくせに、分かってんじゃん。
心の中で大樹を誉めた。
なのに、、、
一番お気に入りのワンピースとサンダルで玄関出たら、家の前で待っていた大樹に、
「歩くからスニーカーにして」
と言われた。
なんなの?私は大樹の気持ちに応えて、シチュエーション作りに協力しようとしたんじゃないか!
大体、こういうときは「かわいいね」でしょ。
やっぱり分かってない、大樹は!
……でも、スニーカーで正解だった。
「ねぇ、まだ着かないの?」
「あと少し」
なかなかの荒れた道を進んでいく。大樹に渡された懐中電灯で前を照らしながら、大樹の後ろを息を切らしながら歩く。
もうヤダ、何ここ!暗くて怖いし、虫いっぱいいそうだし。こんな山登りみたいなことしたくない!
星見たきゃプラネタリウムで十分でしょ。バスと電車乗り継がないと行けないけど……
まぁ、プラネタリウムだと告白しづらいか。
って、そもそもここド田舎なんだから、都会よりも普通にたくさん星見えるし。
わざわざ星見るためにこんな苦労しなくても、その辺の公園とかで全然OKなんですけど私は!
心の中でブツブツ文句を言いながら、大樹の後をついていく。
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