17人が本棚に入れています
本棚に追加
「よしっ、じゃあどんどん願っちゃお」
流れ星を見つけると、唱えるように大樹が言う。
「結がデザイナーになれますように。結がデザイナーになれますように。結がデザイナーになれますように」
――これ、3回言うの無理じゃね?略すか?「ユイデザナル。ユイデザナル。ユイデザナル」何これ言いづれぇー。大体さ、流れ星消える前に3回言える人っていんのかな?
1人でブツブツ言いながら、流れ星を見つけるたび願いを唱えている。
状況にいまいちついていけず、啞然として大樹を見てたら、
「ねぇ、ちゃんと願ってる?結が願わないと意味ないだろ」
と怒られた。
「デザイナーになりたいんだろ?また流れたぞ。ほら願え!願え!」
なにこのスパルタな感じ……
「2人で一緒にお願いすれば、可能性倍になるんじゃない?それに、数撃ちゃ当たる!質より量!大は小を兼ねる!」
「ちょっとそれ意味違うんじゃない?」
「いいから。ほら、どんどん願って!」
あ、ほらあそこ!――と大樹が指さして言う。
「お願いしまくってどうにかしようって、なんか他力本願ぽくない?」
「いいんだよ、他力本願でも神頼みでも。結はいつもひとりで頑張ってるんだから、たまには頼っちゃえ。神様でも俺でも……」
あっ、でも俺は勉強無理だからそれ以外で――大樹が笑いながら付け足した。
最初のコメントを投稿しよう!