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01-01 成人の儀
世にある、光と闇を統べること。
それが王の役目であることを、俺は教わった。
俺達・白の一族の仕事とは、常人には見えない、光と闇を読み解き、自然の理を理解し、王に伝えること。
王の目となり耳となり、支え続けること。
これこそが、一族に与えられた使命だった。
幼い王女も、その弟の王子も、王族であることに変わりはない。
守るべき大事な存在だ。
何があっても守り抜かねばならないと自負していた。
だからある夜、父上が俺を部屋に呼び出し、こう説いたとき、俺は確かな決意とともにうなずいたのだ。
「お前は、この先も、永遠に二人を守り続けなければならないよ」
たとえ、どんなに自分の体が未熟でも、志しだけは、誰にも負けないつもりでいた。
一片の迷いもなかった。
すると父上はこわばった顔を緩め、安堵した面持ちで、俺を導いた。
「お前ももう十歳になる。そろそろ、お前にも我ら一族の、切り札について教えておかねばなるまい」
城がすっかり寝静まった頃。
俺は父上と母上と、同じ城に住まう白の一族たちと共に、城の地下へと降りていった。
同じ年の子供たちは、松明に照らされた陰に怯え、おののき涙を浮かべる者もいた。
俺も含めた全員が、とてつもなく大きな存在を、城の奥底に感じていたからだ。
恐ろしく不気味な、神話に出てくる龍や鬼のように、雄々しく恐ろしい存在感だった。
「さぁ、中へ入りなさい」
大人の一人に言われるがまま、階段を降りた。
やがてたどり着いたのは小さな扉だった。
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