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だから姉さんは、城の誰もに嫌われている。
僕はいい加減慣れてしまっているが(それほどまでに、姉さんはしょっちゅう僕に会いに来るのだ)、未だに、腐った生肉とドブとを混ぜ込んだような、むせ返る芳ばしさを感じることができる。
僕が姉さんを好きになれないのは、この臭いもさることながら、この匂いを自覚してなお、延々と僕にまとわりつくところだ。
同じはぐれものの僕に親近感を抱いているのかもしれないが、(蒼の国の言い方を借りると)姉さんの頭のネジは一本飛んでいってしまっているので、何を言ったところで、通じはしない。
しかもこれだけではない。
「おおあああああああああああよおおおおおおおお」
けたたましい叫び声に、僕は両耳を塞いだ。
同時に、こちらに迫ってくる羽ばたきの音が聞こえる。
僕はいつもの習慣で、一目散に走り出した。
後ろで姉さんが、「あっこらっ!」と叫ぶが、知ったことではない。
途中に一度だけ振り返ると、姉さんの頭にむしゃぶりつく、白いタイハクオウムが見えた。
姉さんの使い魔だ。
こいつはティーアとは真逆の性格で、僕の大嫌いな鳥だ。
とにかくうるさい。
しっちゃかめっちゃかに、覚えた言葉を、はっきりしない喚き声で吐き散らかす。
このオウムがいるところは、いつでもお祭り騒ぎになってしまう。
加えて、姉さんはこいつにろくな手入れも加えないので、ヤツの近くにいると白い粉が舞って息ができなくなる。
おまけに馬鹿なので、何にでも噛みつき、握りつぶそうとする。
近寄ることすら危ない。
唯一の長所は、今みたいに姉さんを足止めしてくれるところだ。
毎朝同じ時間に飛んでくるあたり、本当は頭がいいのかもしれない。
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