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01-02 子供たちの文通
紫の国より:
どうも、文を出すのはいつぶりだろうね。
全く、今思うと、いちいち使者に文を託していたのが、バカみたいだよ。
王族の悪いクセは、しきたりやら法律やらに囚われて、視野が狭くなっちまうことさね。
自分の国で、いっぱいいっぱい。
お隣さんは敵同士。
馬鹿な大人は小競り合い。
咎を受けるは子供らばかり。
嫌になっちまうね。
朱の国より:
そんな言い方、いけません!
しきたりも法律も、国を治め、導くため、先人たちが編み出した、偉大なる知恵の結晶なのですよ?
侮辱するのは、我が国では死罪に当たります!
蒼の国より:
まぁまぁ、二人とも。
そう、お怒りになさらないでください。
せっかく連絡が取り合えるようになったのに。
喧嘩をしては、もったいないですよ?
朱の国より:
喧嘩など!
そんな野蛮なこと、していません。
これはあくまでも、重大な議論であり……。
紫の国より:
朱の国のお嬢さんは、真面目で、かたっ苦しくていけないよ。
朱の国より:
紫の国のあなたが、おおらかすぎるだけです。
……しかし、蒼の国の方の発想力には毎度驚かされます。
まさか、朱人の超能力を用いて招集をかけ、紫人の魔法により、文に言葉を浮かび上がらせるなんて。
思いつきもしませんでした!
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