01-02 子供たちの文通

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蒼の国より: いえいえ、お二人の力あってのことです。 僕はこの通り、口がきけないものですから。 文でないと、みなさんと同じように話すことができません。 話し相手が二人もできるのは、僕にとって、大変喜ばしいことなんですよ。 紫の国より: 蒼の国の輩はお人好しでいけないよ。 蒼の国より: ありがとうございます。 紫の国より: 褒めちゃいないよ。 うつけ者が。 朱の国より: またそんな言い方して!  ……もっとも、あなたには同意しますわ。 私も城から出られない身である以上、退屈とはいつも隣り合わせですから。 お話ができるのは、至上の喜びです。 紫の国より: あんたは大げさなんだよ、お嬢さん。 まぁ、あたしも城にとらわれている身だ。 退屈しのぎにはちょうどいいが……いいのかね?  形だけとはいえ、あたしもお嬢さんも、一応は王族だろう?  こういうやり取りは、あんたのいう「法」にはひっかからないのかい?
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