01-03 魔法使いの朝支度

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子猫のティーアが、獲物を狙うように精霊たちをにらみつけると、たちまち精霊たちは「わぁっ」と声をあげて、どこかへ隠れていってしまった。 「兄様に朝の挨拶に行こう。その後は蒼の国へ。ここはうるさくてかなわないよ」 語りかけつつ、寝巻きを脱いでローブを引っ張り出す。 その間も、ティーアは静かに、ベッドの上で丸くなっている。 なんて利発な猫だろう。 精霊たちに、爪の垢を煎じて飲ませてやりたい。 齢にすれば、精霊よりか、ずっと若いはずのこの子猫は、使い魔にしてからというもの、子猫らしいやんちゃをしたことがない。 物静かで従順、賢く上品だ。 僕にはもったいないほどに、よくできた使い魔である。 魔法の手伝いも、十分にこなしてくれる。 「さぁ、準備ができた。ご飯は姉さんに食べさせてもらえたかい?」 ティーアは「みぃ」と小さく鳴いて答えると、僕のローブを駆け上り、いつもの肩の位置に陣取った。 しばらく前足でフードのあたりを踏んだあと、納得した様子で腰を下ろす。 部屋を出てからも、ティーアは肩の上を微動だにせず、やはり静かに主人に寄り添うのである。 騒がしいこの国において、ティーアは僕の唯一の癒やしと言っていい。 言葉を話さないことに加えて、おせっかいがないところも、僕のお気に入りだ。
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