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01
「Type:A、機体のエネルギーがもう持たない。これ以上の宇宙間移動は危険だ。…この手近な星に着陸するしかない」
Type:Eが示した惑星を見る。生命体の反応が極端に薄い数値なのが気になるが、これ以上宇宙を漂っていてもいつか死を迎えるだけだ。だったら万に一つの望みをかけてその星に着陸するしかなかった。
◇◇◇
数百年前、母星が僕らの生きられる環境でなくなった時、僕らの種族は皆散り散りに宇宙へと飛び立った。僕とType:Eは同じ時に生まれた個体だから、自然と手を取り合って同じ機体に乗り込み、少し前までコールドスリープ状態で宇宙を漂っていた。しかし艦内のエネルギー残量が減った事で機体が僕らを強制的に目覚めさせるためにコールドスリープシステムを解除し、僕とType:Eはおおよそ300年ぶりに目を覚まし、お互いを見た。
母星を離れた時と同じように、自然と手を取り合い、機体操舵室へと向かう。
艦内のエネルギー残量に警告が出ているのを見て、僕らは寝ぼけていた頭からやっと今の事態を飲み込めた。
自動操縦からアナログ操縦へ切り替え、燃料を消費する一切の機能を一度停止させた。二人で残りのエネルギーで移動可能な惑星を探し、Type:Eが唯一着陸出来そうな星を見つけてくれた。
「二人の安住の地になるといいね」
着陸を決めてからの行動は早かった。少しでもエネルギーを減らさない内にその星へ進路を向けた。宇宙から見ている時から不安な条件ではあったが、実際に自分の目で見てみるとかなり汚染の進んだ星だということが分かった。
目視可能な限りでも大気はかなり汚れ切っている。空には深い紫色をしたガスが漂っていた。
ここまで星の自浄作用がなくなっているとなると、一度ある程度の生命体がこの星で生活していた可能性が高い。けれどレーダーには生命体反応はなかった。絶滅したのか、はたまた僕らと同じように母星に住めなくなって脱出したのかは分からない。重要なのは折角降り立った僕らもこの環境では生きていけないのではないかという懸念であった。
大気成分を見た限りでは特に問題がなさそうに感じた。
二人で船から降りて土壌調査を開始し、汚染レベルを測定する。汚染レベル:4を観測した。母星は汚染レベル:5だったことを考えると、まだ少しはましであった。本来の決まりではタブーであったが、生命体が死滅したと思われる惑星に限っては例外的に、持ち込んだ動植物を移星させてもよいことになっている。
いきなり動物を放すのはこの星の汚染レベルでは危険なので、カプセルに保存していた植物の種子を地面に撒いていった。
経過観察をして、植物が育っていくようならいずれ動物も生きられるようになるだろう。
「母星から持ってきたラシトリアギアム、上手く育つといいな」
「こっちのヒラミビオンヌも強い品種だ。汚染レベル:5でもギリギリ生きていたから、希望はある」
Type:Eが植えたラシトリアギアムは美しい花と栄養価の高い実が出来る品種で、成長速度がとにかく早いのが特徴だった。環境さえ合えば一ヶ月程で収穫可能なはずだ。
対して僕が用意したヒラミビオンヌは悪環境に強く、繁殖力が高い。その上自分の繁殖がしやすいよう周囲の土壌を自浄していく能力がとても高いので、環境改善には欠かせない品種であった。
こんなところでも僕とType:Eの性格の違いが出ていて楽しかった。
その日はただType:Eと寄り添って眠った。
久々に同族の匂いと体温をそばで感じ、僕は堪らない気持ちになった。
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