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その翌日から出来るだけType:Eを船内に居させるようにし、僕が動植物の管理や土壌、水質の改善作業を担った。 大人しくしてくれるわけもないので、手足を縛ってベッドに寝かせた。 船を出る時に見たType:Eの恨めしい顔が思い出される。 僕自身、Type:Eより大きい個体だから影響が小さいだけであって、長く吸えば吸う程に中毒症状は酷くなる。 今日は毒素に弱い種子を植えてみた。ある程度環境に強い動物も放逐した。 自浄気泡精製機のバッテリーが尽きるのが先か 僕らの体力が尽きるのが先か この星が回復するのが先か 先の見えない答えを求めながら、僕はType:Eを軟禁した部屋に戻る。 部屋に入ると朝とは打って変わってにこやかなType:Eが僕を見つめている。 今までこんなType:Eの表情は見た事がなかった。 妖艶なようにも見える。僕はまた不思議な動悸を感じてしまう。 形の良い唇を動かしたかと思うと、僕には理解出来ない言葉を放った。 「Type:A、私達の卵を作ろう」 「………え」 その発言で、僕らは雌雄のある生き物であり、子孫を残せる関係であることをやっと思い出した。
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