WHO事務局長の演説

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WHO事務局長の演説

人類の歴史とは、すなわち健康を獲得するための歴史であります。 ワクチンや抗生物質の発明、各種の抗ウイルス薬の創出、医学・栄養学へ調査研究。我々は人智を結集して戦ってまいりました。 病魔に倒れた先人の尊い犠牲を無駄にしてはなりません。 いつの日にか、すべての人類に健康と豊かな生活が保障される、それが我々の目標であるべきです。 しかし一部の国では、文化や伝統の美名を着飾って、人間が人間の健康を損なうということが依然として行われているのであります。 たとえば北アフリカ地域で続いている、Female Genital Mutilation。FGMと略されます。これはその名のとおり、年端もいかない10代前半の女性の性器の一部を、成人した大人が刃物で切り取るという行為を儀式として行うものです。 なぜこのような野蛮なことをするのか。 彼らは「それが伝統だからだ」と言います。 これは明確な人権侵害であり、犯罪行為にほかなりません。人体を傷つけるなどという行為は、文化や伝統の名に値しないことは言うまでもありません。 我々の強い働きかけにより、FGMを法で禁止した国もありますが、未だに容認している国が多数あります。 我々の戦いはまだ続くのです。 さて今日は皆さまに残念なお知らせをしなければなりません。 日本において、文化・伝統に偽装した野蛮な行為が行われているのです。 皆さまにはにわかに信じられないことかもしれません。先進国である日本において、ときには人の生命を脅かすような習慣が、今も平然と続けられているのです。 それは、○○○○○○習慣です。 日本では古来より特定の季節に○○○○○○習慣が行われていました。 その習慣が人体に深刻なダメージを与え、多くの生命を奪っているのは、何十年何百年も前からはっきりしています。 統計によると○○○○○○習慣による日本国内の死者は、本年1月だけですでに1300人を超えています。これは客観的事実です。 日本における○○○○○○習慣は、もはやアフリカのFGMにも劣る野蛮な行為と言ってもよいでしょう。 しかし、日本政府は○○○○○○習慣を禁止する措置は一切講じないにとどまらず、少なくない数の政治家が率先して地域で催される○○○○○○習慣に参加することすら、よく見られるというのです。 我々は何度もやめるよう勧告しました。日本政府は一切耳を貸す様子はありません。 なぜか。 日本政府はわざと○○○○○○習慣を放置しているのではないかという疑いを我々は持っています。 ○○○○○○習慣は、特に高齢者に対して有害であるということがはっきりしています。先ほどすでに死者が1300人を超えると言いましたが、そのうちの90%以上が高齢者なのです。 少子高齢化が日本の最大の課題のひとつであることは、皆さまご承知だと思います。 つまり日本政府は、高齢者を社会から排除するために、○○○○○○習慣が有害で危険であると知りつつ放置しているのです。 そんな馬鹿な、とお思いかもしれませんが、状況証拠として、例えば公的私的を問わず老人ホームの入居者に対して、あるいは病院の入院患者、刑務所などにおいて、ほぼ例外なく○○○○○○習慣は行われている事実が確認されています。 これは文化や伝統ではありません。明確な意志を伴った国家による殺人であり、決して許されざる人道に対する罪であります。 もはや議論や勧告をする時期は過ぎ去りました。 野蛮で有害な○○○○○○習慣を一向に止めようとしない人権後進国の日本に対して、国際社会は一致団結して圧力をかけるべきです。 日本政府の非道を糺し、人権を守らせ、そして○○○○○○習慣を止めるよう日本国民を啓蒙し善導し、再教育するのが我々の責務です。 ありがとうございました。
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