chapter,4

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「確かに俺は亜桜小手毬の担当医として一番近い場所にいる。だが、彼女が“女神”の“器”として覚醒し、審判の日を迎えるまでは手を出すつもりはない」 「審判の日?」 「ああ、継承と称した方がわかりやすいか。諸神信仰では女神の血筋と彼女を器にする権力者の結び付きを深め、神降ろしを行う祭りというか、儀式のようなものがある。その日を彼らは審判の日と呼んでいる」 「まるで因習村ね」 「似たようなものだ。地方都市でも隠された伝承や信仰は残っているし、そういったものにすがろうとする人間がいるのはいまに限ったことではない」 「赤根一族に、諸見里、ほかにもコデマリちゃんを狙っている輩がいるってこと?」 「いや。“器”が不安定ゆえに“女神”はまだその存在を秘匿されている。旧知の諸見里と亜桜家を生み出した桜庭、あとは一部の赤根の四季たちだ」 「ふうん。いまのうちに囲い込みしようってわけ」 「だろうな。諸見里本家が亜桜雛菊の件で女神にこっぴどく裏切られているから」
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