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「苛々するんだよ。見ていると。最初のうちは微笑ましいと思ったけど、今じゃ惨めでしかないぜ? 時間の無駄としか思えない。そんなに自分苛めて楽しいか?」
陸奥は怯むことなく、攻撃する。
「あんまり、自分を責めるな」
「……あんたなんかに、言われたくない」
振り絞ったような声を、陸奥はしっかり耳にする。
「そうだな」
「え」
さっきとはうってかわって、柔らかな優しい声音が自由に降り注ぐ。
「偉そうなこと言える立場じゃないもんな、
まだ」
それは自分自身に対してなのか、自由に対してなのか、不透明な発言。
「早ければ三ヶ月でいけると思ったけど、見くびったな……一年、いや二年くらいインターバル必要だな」
独り言なのか、自由に対して言っているのか、陸奥は一瞬だけ翳りのある表情を見せる。
だがそれも、すぐに消え、意地悪そうな微笑に戻る。
「諦めるなよ、俺は諦めない」
そう言って、満足そうに彼は歩き出す。早足で廊下を渡る彼の大きな背中を、自由は呆然と見送ることしかできない。
……どういう、ことだ?
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