monologue

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 そして黄泉還って初めて目の当たりにした、ほんとうの恋。  届かない月に手を伸ばすような、叶わない、叶えられない恋。  あまりに痛くて、苦しくて。  逃げるように、求めてしまったぬくもり。  それは、十年間好きでいようと想いつづけた彼ではない、別の男性だった。  不誠実だって、理解していたけれど。 「あなたなしでは生きていけないの」  その言葉を、ほんとうに捧げなくてはいけない相手が、誰なのかわからないまま。  かよわき花は散らされ、新たな罪を犯していく。  恋なんて得体の知れない感情に溺れたくない、けれども身体は心とは裏腹に、意地悪なのにやさしい彼を求めて蜜を溢れさせる。  このままじゃ壊れてしまう。けれど壊れてしまえばもうなにも怖いものはない。  解離するふたつの思惟はぶつかりあいながら、自身に潜む本音を探りつづけ、白日の下へ晒すべく、ふたりの異性に向けて醜い姿を暴いてゆく。  ――やめて。これ以上、愛さないで。 「どうかあたしに麻酔をかけて。これ以上、恋なんかできないように……!」  亜桜(あさくら)小手鞠(こでまり)、十九歳。  恋に憧れていた少女は乙女となるも、未だ与えられる愛に、怯えている――……
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