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死体
「やだ〜〜、またあの橋の所で死体が上がったって!!」
夕ごはんを食べようとしていた時に鳴った携帯を覗きながら母さんが甲高い声をだした。
あの橋というのは俺の通っている中学の目の前にある橋の事だ。
俺が物心ついてから少なくとも3回以上同じ場所で死体が発見されている。
「発見者が斉藤くんだって!!」
「斉藤?俺のクラスの?」
斉藤は相撲部で、図体もデカいし態度もデカい。
明日アイツはただでさえデカい顔をもっとデカくして学校に来るだろう。
全くもって面白くない。
「ほら!!正樹!!ちゃっちゃと食べないと!塾に遅れるでしょ?」
俺は夕飯のカレーを飲み物の様に流し込んみ、塾用のリュックを背負って塾に行くフリをした。
自転車のサドルは塾がある駅前の方向ではなく、反対側のにある中学校に向かって行った。
随分緑がかった夜空で、空気が澄んでいたのかいつもより星が沢山見える。
「何だかムードがあるじゃん。こういういつもと違う時には何かが起こるんじゃね?」
自転車を漕ぎながら鼻歌混じりに呟いた。
俺は斉藤が注目される事になるのが気に入らない。見てろよ!あいつよりもっと凄い物を見つけてやる。
中学校の裏にある枝分かれして出来たた小さな川に、いつ作られたか分からない橋がある。誰も通らないその橋は鬱蒼とした茂みで隠れていて、人を通すのを拒んでいる様に見えるのだ。そして近くを通るとそこだけ気持ち涼しく感じるし、俺はずっと前からその場所には何かがあると疑っていた。
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