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「正樹!!いつまで寝てんのよ!!もうすぐ塾の時間でしょ?」
母さんの声で俺は目を覚ました。
夢……?夢を見ていたのか?
俺の心臓は飛び出しくる程激しく、汗は掌や足の裏までかいていた。
そし全身にまだあのゲルの中にいた感覚が残っている。
「母さん今何時?」
俺の声は自分でも驚く位枯れていた。
「5時40分だけど、どうしたのその声…。風邪でも引いたの?」
母さんが俺のおでこに手を当てた。
「熱はないようだね」
俺が学校から返って来たのが5時、適当に何かを食って、部屋で着替えて携帯をいじりながらベッドに横になって……と考えても寝ていた時間は10分ちょっとだ。
10分?嘘だろ?
カレーの匂いが俺にアピールするように部屋にやってきていた。
「今日カレー?」
「そうだけど、何?給食と被った?」
と母さんは眉間にしわを寄せた。
「いや……。あのさぁ、今日塾休む……体調が悪い」
母さんはさっきよりもっと深くしわを寄せた。
「ちょっとーー!ちゃんと熱測りなさいよ!!あんたの塾にいくらかかってると思ってるの?その癖に成績も上がらないわ、簡単に休むって言うわ、お金をドブに捨ててるね!!あーーっ!またお母さんパートの時間増やさなくちゃ!!」
勢い良くドアが閉まり地響きのような足音が遠のいて行くのは捉えていたけど、ウザい位嫌味っぽい母さんの小言もヒステリーな態度も今の俺にはどうでもよかった。
「夕飯はーー!?」
リビングから母さんのイラついた声が聞こえる。
「要らなーーい」
「えっ?食べないって事なの?」
「後で食べるーー!」
と大きな声で答えた後
「……かもしれない……」
と小さく呟いた。
カレーなんて食えねえよ……。
俺はベッドに寝そべったまま、腕で顔を覆った。
「疲れた……」
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