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あと5分
俺、正は時間に追われていた。
7分後に、憧れの女性とデートなのだ。
そういっている間に、6分59秒、58秒、57秒、56秒……。
数えていてもきりがないのでやめるが、要は追われている、ということだ。
というのも、俺に恋をしていたという女性は他県に住んでいたのだ。
今住んでいる場所からかなり遠く、飛行機で移動することとなった。
俺は20分かけて急いで空港に行き、すぐに搭乗できる便を探した。ちょうどキャンセルが出て、乗ることができた。
飛行機1時間、その後高速バスで1時間半、電車で30分かけてその子の元へ向かった。
田舎も中々悪くないと思っていた。しかし、その女性はいなかった。
連絡をきっちりしていなかった俺の責任なので仕方ない。
ここまではよかった。
俺としたことが、飛行機に乗り遅れたのだ。
きっちりお礼をしようとお土産をかっていたときのことだ。お年寄りの方が重そうな荷物を抱えていたのを手伝っていた。
すると飛行機の時間が過ぎてしまい、次の便は1時間半後。
朝7時に出発し、8時につき8時半には家について準備をしているはずだった。
それが、8時半に出発し、9時半につき、部屋まで20分、部屋から15分。間に合わないのだ。
幸い、待ち合わせ場所には空港からだとバスで20分、歩いて10分の場所にある。
お土産を持っていたとしても走れば5分だろうという予想のもと、行動し、今バスに乗っている。
もう少しでつくはずなのだが、今日はやけに信号機に捕まっていた。さらに不幸が重なり、携帯の充電もない。連絡すら取れないのだ。
時間はバスで確認している、が、降りてしまえば確認不可能になる。勘が頼りだ。
少し遅れて目的のバス停に停車する。こんな時に限ってお札しかない。財布を取り出し、両替し、小銭を入れる。
俺は走り出した。
デートまであと5分。
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