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新しい日常
高級ホテルの駐車場で、俺は待っていた。
今日は、ここの会議室で大事な会議があるらしい。
どこの部屋で会議がされているのかは、俺には知らされてはいない。
その会議の内容も、俺は知らない。
考えても仕方のないことだが、相手がどんな人物かを知りたい衝動にも駆られる。
しかし、アイツいわく、
『情報は必要最低限。
配偶者や親の介護、子どもの数を考えていたら、情が移って仕事が出来なくなる。』
そうだ。
だから、そこはもう割り切るしかない。
それに、ジンのためにも、俺のためにも、やるしかないんだ。
とは言え、心に多少の引っ掛かりもある。
ビルを見上げても、ビルの中身が透視できるわけでもない。
反芻するように、
『まぁいい。焦ることはない。
親友のジンを裏切るつもりなど、俺には微塵もない。
だから、選べる道はひとつだ。』
と、自分に気合いをいれるようにひとりごちる。
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