ジンとツネ(続)

新しい日常

　本日の早朝まで自動車の運転について、スタッフから受けた訓練によって、付け焼き刃でどうにか身に付けることができた。

車の運転は、ただそれが出来るだけではなく、誰かを乗せた時には優雅に運転すること、静に目立たないように運転すること、そして、警察のお世話にならないようにすること。
・・これらのことが含まれるらしい。

ほぼ拒否権なく結ばれた契約だったが、それに基づいた何よりもの得点は、警察に追われることなく、夜ゆっくり眠れること。
それから、必要物品の支給だった。
また、特別優遇で偽造された運転免許証には、俺の指名も年齢も記載されているが、それらももちろん真実ではない。

もうそろそろか・・

俺は車から降りて、エントランスに向かい、予定どおり用意されたホテルドアマン用のスーツを着て、ホテルスタッフを装った。

よし。
いよいよ任務開始だ。