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「確かに、あの一件の一部については露見し、一石を投じて波紋を起こすことは出来た。
しかし、これからが問題だ。
レインドロップスの連中は、確実にお前を狙うだろう。
お前に選べるのは、路頭で迷って、事故死するか、俺たちに協力するかのどちらかだ。」
そういうタカノは、ひどく冷静だった。
・・なんだよ。
俺にまだ何かをやらせるってことか。
せっかくヒト泡吹かせてやったのに。
まだ終わらせないと言うのか。
俺はタカノの良く磨かれる焦茶色のスウェードの革靴を睨み付けながら、込み上げてくる怒りを拭いきれなかった。
俺の唇と肩が勝手に震えていた。それは、抗えない現実に対して、言い知れぬ怒りからなのだろうか。
あんなに必死で、それこそ死ぬ気で戦ったのに、まだ戦えと?
そんなことは拒否してやる。
しかし・・
タカノはさらに続けた。
「『145』は、お前の相棒なんだろう?そいつの命は、俺たちが預かっているんだ。」
そう言って、手元にあるノート型パソコンを立ち上げて、カルテらしきものを画面に写し出した。
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