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旧時代のゴミ
結局、世界の秘密とは何だったのだろうか。
数年前のことを思い出しながら、朔は地平線の向こうまで続くガラクタの山をぼんやりと眺めていた。
ここにあるのは旧時代に廃棄された大量のゴミだ。
だが、技術が衰退しつつある今となっては、旧時代のゴミの中にも価値があるものがあった。両親がいなくなった今、そういう代物を朔は売って生計を立てていた。
「おーい、朔ー!」
自分の名を呼ぶ声に朔が振り向くと、画面が割れた小型の装置を持っているもうひとりの少年が立っていた。
「ああ、凪。そっちは何か見つかったか? それは?」
朔は凪というもう一人の少年に訊ねた。
「これはスマホっていう通信装置だよ。壊れてるけど、部品に希少金属が使われてて、じゃがいも1つ分ぐらいの売値になるんじゃないかな。向こうでゴミの山が崩れてて、他にも色々ありそうなんだ。あれは穴場だよ」
「おっ、ラッキー。ついてるな」
軽い足取りで凪の後をついていくと、ゴミの斜面ががけ崩れを起こしていて、地下に隠れていたゴミが地表に出てきている斜面にたどり着いた。まだ、誰にも荒らされていないゴミには、売れば高価なお宝が眠っているかもしれない。
朔は期待を胸に、凪と分かれてお宝の捜索を始めた。
ガラクタを漁っていると、塗装が剥がれた金属製の配管の間から大きなガスボンベが姿を表した。朔がバルブを捻ると、ボンベからはガスが噴き出した。
「うわっ! 凪ー! ガスが残ってるボンベがあるぞ!」
「本当に!?」
凪は足場の悪いゴミの山を器用に駆けて、朔のもとへたどり着いた。
凪はバルブを捻り、ガスが残っていることを確認すると、ガスボンベを調べ始め、喜びの声を上げた。
「LPガスだ! これで気球が飛ばせるよ!」
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