星になった僕

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星になった僕

十数年前。 父親と星弥は、将来の夢の話をしていた。 「僕ね、大きくなったらお星様になりたいんだ!」 「お星様? どうして?」 「キラキラと輝いていたいから!」 本気でそう思っていた。 そして、今現在である。 空の上、星弥は地上を見下ろしながら思った。 ―――・・・だからって、本当に星にならなくてもいいだろ。 ―――叶えんなよ、そんな夢。 ―――というか誰だ? ―――“死んだ人は星になる”って、最初に言った奴。 ―――神様が、本当にその願いを叶えちまっただろ。 ―――俺は別に、死にたくなんてなかったのに。 ―――・・・やりたいことが、まだ山ほどあったのに。 子供の願いが本当に叶う、というよりは死んだ人は皆星になるようだった。 「・・・今日で死んでから三日目、か」 小さく呟くと、隣にいた星が話しかけてくる。 「何々? どうしてそんなにナイーブになってんの?」 名前も知らないが、ことあるごとによく話しかけてくる奴だ。 「どうしてって、俺はここにいたくないからだよ」 「俺は星になれて幸せなのに?」 「それはお前が死にたかったからだろ。 俺は死にたくなんてなかった」 死んだのは星弥の不注意だった。 あまりにも突然な死だった。 星である今よりも、生きていた人間の時の方が思い入れがある。 そんな時、ふといいことを思い付いた。 「・・・あ、そうだ。 俺、流れ星となって地上へ降りてみようかな」 「はぁ!? お前それ、正気? 俺たち、今どんな姿なのか分かってる?」 「分かってるよ。 地上の人からは綺麗な姿に見えるけど、実際は石の塊だろ」 「そうだよ。 そんなお前が、急に空から降ってきたら人はどうなる?」 空に瞬く星、ではなくヒトデのような星を思い浮かべていただきたい。 何とも奇妙だが、星弥たちはそれなのだ。 「大丈夫。 実際に降りたりはしない、少し近付いてみるだけ。 じゃあ、行ってくるわ」 「今行くの!?」 「俺はやり残したことがあるんだよ。 ずっとここで、呑気に浮かんではいられない」 そう言って星弥は、ぐんぐんと下降していった。
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