星になった僕

2/4
前へ
/4ページ
次へ
地球にぶつかると大変なことになると思い、速度を落とそうとしたが無理だった。 そのまま地面に激突してしまう。 「いっだぁー!」 思い切り尻餅をついた。 そう、尻餅だ。 自分の姿を見ると、人の姿に戻っていた。 これでやりたいことができるかもしれない。 だが、本当の人間ではなかった。  何故ならば、身体が光っていたからだ。 「・・・人間の姿に戻っているって、好都合じゃん。 いや、まぁ、実際は幽霊に見えるんだろうけど」 元々人間としては死んだのだから、仕方がない。 気を取り直し、目的としていた場所へと向かう。 家族よりも何よりも、気になっていたのは付き合っていた彼女のこと。  今この姿でいられるのがどのくらいなのか分からない以上、優先順位を変えることはできない。 だが彼女の家のインターホンを鳴らしてみても、応答がなかった。  もしかしたら会えるかもしれないという期待が、膨れては萎んでいく。 ―――・・・やっぱり、会えないのか? 諦めて、彼女の家の近所を歩き回る。 周りの家は不気味な程に静かだった。 ただ奇妙なことに、一軒一軒のドアが開けっぱなしなのだ。 ―――無防備な奴ら。 そのようなことを思っていると、どこかの家からテレビの音が聞こえてきた。 『緊急速報です。 ただいま、隕石が降下してきました。 ○○市の市民の方は、今すぐに避難してください』 ―――・・・。 「って、俺のせいかよ!? そんな馬鹿なッ!」 星が降ってくれば世界は終わりだ。 逃げる意味すらない。 ―――彼女がこんな時間に留守なのも、他の家に誰もいないのも俺が突然落ちてきたからか。 ―――そりゃあそうだよな、悪いことをしてしまった・・・。   まさかこんなことになるとは思ってもみなかった。 それでも、彼女に会いたい気持ちは変わらない。 避難所はこの近くの学校だと、以前話していたのを憶えている。  この事態に学校に逃げるのはおかしいと思うが、とりあえず行ってみることにした。 実際星は自分であり、何の被害もでないことが分かっているのだから。 場所は去年まで通っていた高等学校。  無人の街を歩いていった。
/4ページ

最初のコメントを投稿しよう!

4人が本棚に入れています
本棚に追加