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序
未確認生命体──────。
初め、テレビなどのメディアではそう伝えていた。
体長約3メートル。猛獣を一回り大きくした大きさのそれは、頭はライオン、胴は山羊、尾は蛇の姿をしていた。
その異様な姿から、当初は動物園から逃げ出した猛獣やペットだったものが野生化したのを見誤ったという噂や産業廃棄物や汚染物質によって突然変異を起こした獣という説。あるいは珍種・新種という説。様々な論議が醸し出された。
いずれにせよ、その未確認生命体は突如都心部に現れ、人を襲い、喰い殺しそしてどこかに消え去るということを繰り返した。
火器・銃器類も些細な傷を与える程度にしか通用せず、退治することはおろか追い払うことさえままならない。その為、未確認生命体が粗方殺戮を終え、立ち去るまで、ただ、人は逃げ惑うだけだった。
逃走の行方も追えず、住処も分からず、未確認生命体は今や、何者よりも人から恐れられる存在となった。
そしていつからか、未確認生命体はその姿より「キメラ」と呼ばれるようになった。
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