3 ランジェリー職人

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俺は何を見せられているのだろう… やってきた変態は俺の下着のよさをいろんなポーズをとりながら素晴らしいと涙を浮かべて称賛し 「俺の求めてたものを作ってくれてアリガトゥっ!!」 と感謝すると俺をいろいろ隠しきれてないブラジャーつきの胸で抱きしめたのだった。 獣人の雄に感謝されることは想定ずみだけど、この感謝のされかたは違うし想定外。 キュートな雌の獣人やセクシーなランジェリーの似合う美人の獣人から感謝の言葉や()め言葉をききたかった俺のこの気持ちをどうしてくれる!? パツパツ・ピチピチの上はまだしも下半身は布が尻にくいこんでるし前は見るに()えない露出度ぐあいに何とかしなければ俺の目が(くさ)ってしまうと危機感をおぼえるほどだ。 (抱きしめられたときの近距離で見せられたソレに俺の腕にブッワ~と鳥肌がたったからな!) たしか試作品でサイズの大きいものも作ったはずだしアレにレースを足して… と現実逃避してるのは(ちから)が強くて腕の中から逃げられない俺の今できる抵抗などこれくらいのものだろ? (そうしでもしなきゃ白目むいて倒れる自信があるよ俺) ………作りたくないけど、作らなければ見たくもない変態獣人のランジェリー姿を見せられ続けるなんて耐えられないッ! (完成したら連絡するって言ったのに帰らないよ、服も着てくれないよぉぉお!!) 俺の妄想してたランジェリーにミニスカート(たけ)の腰巻タイプのエプロンで料理をしてくれるトキめきシュチュエーションがこんな悪夢のようなかたちで叶うことなど望んでいなかったッ! 雄と雌の違いで大違い…トキめかねぇ― いや、後ろ姿だけならありか? キュッとしまった尻の形はいいし足首は細いし獣人にしては美脚で悪くはな… 「できました、ご主人さまぁ♪」 料理を持って尻尾をブンブン振ってて、すげぇハイテンションぶりだな? 俺のテンションは会ったときからダダ下がりだけどな? 俺の作るランジェリーをここまで求められ喜ばれたら少しは嬉しいんじゃないかって? いや、全然。 「俺はお前のご主人さまじゃねぇッ!ご主人さまが欲しいなら他で探してこい」 そしてそのまま帰ってこなくていいからな? 「この素晴らしいランジェリーを作れなければ(あるじ)とは(みと)めません、浮気はしませんッ!!」 荷物の中から別の下着を取り出して両手に握りしめてる姿は変態度が上がってるからやめろッ! お前は何着(なんちゃく)俺の作った物を持ってるんだよ、いつ買いにきたんだよ!! 売った覚えがねぇんだけど? (俺は自分で作って自分で売ってるから買いにきてたなら絶対に見逃すはずがないし入手経路が謎すぎて怖ぇ―よ) とにかく急いで変態用ランジェリーを完成させて追い出そう… 料理は美味しかったけど俺は変態のご主人さまになるつもりはねぇッ!! こうして俺は睡眠時間を削って次の日には完成させたのだった。 「さすがご主人さまぁ!俺のために徹夜までして1日で完成させるだなんて、、」 完成した下着をうっとりと見つめて今日(きょう)も今日とてサイズのあってないランジェリー姿を喜々としてさらす変態はまたしても俺を腕の中に閉じこめて背骨が折れそうなほど締めあげていた。 (さっき食べた朝ごはんとか、いろいろ(くち)からでちゃうからヤメろ!) それにお前のための徹夜じゃなくて俺の都合なだけで―… 「(あるじ)の愛をしかと受けとめました!この愛のランジェリーをつけた俺を好きにして下さい」 ほんと、マジ帰れよ!!!
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