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院長先生とお話ししてから数日後、お城の兵士が書簡を持ってわたしたちの所へやってきました。 兵士が来るといつも不吉なことが起こります。それがなんなのかは時代によって変わりますが、一番多いと思われるのは戦争でした。しかしこの時代、人々は戦争をする余裕などなく手を取り合って暮らしていくことを余儀なくされていたのですから、わたしたちはあまり深刻に捉えてはおりませんでした。 兵士の持ってきた書簡には長々と文章が書かれていましたが、要約してしまうと召集令状のようなものでした。忌まわしい戦争の記憶は驚くほど簡単にわたし共の所へやってきたのです。 『子供を一人、魔王討伐に寄越せ』 このごろ、周囲の孤児院や街にそのような命令が出ているとは風の噂に聞いておりましたが、人というのは愚かなもので、自分たちのところは大丈夫だろうとたかをくくってしまう生き物なのです。
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