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先生――カノンとリュートが帰ってきません――
真夏だというのに月明かりに照らされた新雪のような顔色で後輩が私のところへやってきたのは、太陽が眠りにつく頃でした。
外で遊んでいた子供たちを呼び集めてみると、二人足りなかった。裏の森へ迷い込んだのかもしれない。
酷く憔悴した様子で彼女は続けました。
裏の森――わたしがここにいた頃は「魔物が住んでるんだぞ!」なんて少し意地の悪い先輩からよく脅かされたものです。
だから、昼間は鳥たちが飛び回り木漏れ日の降り注ぐ森が夜になると急に姿を変え、底無し沼のようにわたしたちを飲み込んでしまうのではないかとみな怖がっていました。
魔物がいる、なんてのは子供のつくりだしたなんて事のない噂かもしれません。あの年頃の子たちは根も葉もない噂や伝説というものが大好物ですから。
けれど――もし本当に、本当に魔物がいるのなら――
二人の子供が長時間生き延びるのは――
わたしたちはすぐに捜索を開始しました。
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