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夕闇に沈もうかと赤黒く染まる森は、いつにも増して広く、邪悪に見えました。 二人の名前を呼びながら木々をかきわけかきわけ進んでゆきます。 二人共わたしの大切な生徒でした。 わたしには二人を幸せにする義務がありました。 なんとしてでも二人を連れて帰らなければいけないのです。 きっとこれもカミサマが御与えになった試練なんだわ―― 子供たちの背負わされた試練に比べられるほどではありませんが、わたしもまた命をかけて職務を全うしようとしていたのです。
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