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捜索を始めてから一時間ほどたった頃でしょうか。夕暮れの空に黒い雲がかかり始めました。今にも空が泣き出しそうになった時 リュートが獣道の向こうからわたしの方に向かって駆けてきたのです。 こんなにもあっさりと見つかるだなんて―― おもわず拍子抜けしてしまいました。 「リュート、カノンは一緒でないのですか?早く呼んでいらっしゃい。遅れた理由を正直に教えてくれればきっと院長先生も怒りませんよ」 ……認めたくなかったのです。二人はただ遊び疲れて森の奥で眠っていただけです。もしくはかくれんぼでもした時にゲームが既に終わっているのに気がつかなくて森から出て来られなかっただけなのです。――なにか不幸なことが起こったわけではないんだ、と。 わたしはリュートが口を開くのを固唾を飲んで見守っていました。きっと大丈夫、きっと大丈夫。
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