第一章

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ママがホテルを出たのは昨日のことだった。 二人でホテルのレストランで早めの朝食を済ませると、 「ママはお仕事があるから出かけるけど、ライラはお部屋で待ってるのよ」 ママはサバク国を出るときに持ってきたルイ・ヴィトンの小ぶりのスーツケースを持つとホテルを出て行った。 “ママとのバカンスは終わったのだわ” ライラはそう思った。 しかし、終わったのはバカンスだけではなかった。 ライラはこの三日間の出来事を思い起こして、なんとなく、甘えに甘えてきたママとの生活が指の先から遠ざかっていくのを感じた。
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