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第一章
『外国人入るべからず』
カフェの入り口に貼ってある紙切れのフランス語はそう読める。
ライラは更に扉に近寄り、コートから首をのばし、背伸びをしてもう一度読み返してみた。
“貼り紙をするなら、もっと下に貼ってくれればいいのに!”
確かに、八歳の少女が読むには、貼り紙の位置が高すぎる。
子供が読むことは想定していなかったのだろう。
しかし、何度読み返そうが、貼り紙の文句が変わるはずはなかった。
このみすぼらしいカフェの前に立った時、ライラは約束の場所を間違えたのではないかと思った。
ママが出入りするような場所には思えなかったからだ。
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