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「貴方は、誰?」
純真無垢だった私は、なんの疑いも持たずに、その真っ新な心に浮かんだ疑問をそっと音にのせる。私の唇から零れた言葉は、ばらばらと音もなく散っていく。
「僕の名前は、フィーニス」
「ふぃー、にす?」
「あはは、君には少しだけ、難しい名前だったかな」
そう言って彼は、ごほん、と咳払いをする。まるで何かが喉に詰まってしまったかの様な音がした。
「フィー、で構わないよ」
そう言って、その低い声を零して笑う。
「貴方は、私から、見える?」
「うーん、どうだろう。恐らく、君から見えている星空の反対側に居るのだけれど、僕の事を見れるかなぁ」
そう言ってくすくすと酷く楽しそうに笑う。ずるいわ。私なんて、こんな殺風景な場所で毎日あの光の粒に憧れているというのに。
「ところで、僕も君の名前を訊いても構わないかい」
「いいわよ、私は、ペペリット」
「ふぅむ、じゃあ、ペペ、と呼ぶことにしよう」
ペペ、と小さく呼ばれた初めての愛称に、小さく心が動く。ぽんと跳ねて、そうして、弾んだ。その動きが伝染するように、私の頬はえくぼを刻んだ。
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