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【第4話】隣の彼女
強制的に入らされた?吹奏楽部。
しかし、サックスパートに2つ上の先輩が中学の時の先輩だったため、部活に馴染むのは早かった。
クラスに関してはというと・・・まあ、馴染まないわけですよ。
男子が38人いる中、女子が2人だけですからね。
こればかりは時間がかかると思っていた矢先、仲良くしてくれる子が2人現れた。
一人目は学級委員長の正田くん。
この子はオタクかヤンキーかと聞かれるとヤンキーの方。
ガタイもよく、野球部に所属している。
二人目は指が綺麗な梶原くん。
音楽が大好きで時々音楽を聴きながら踊りだす変わった子。
背も高く、マルチメディア部に所蔵している。
所謂、帰宅部である。
この二人はコースが違うため実習になると分かれてしまうが、男子しかいない環境の中で女子の私達を気にかけてくれる優しい子達。
菫は特に正田くんと仲が良かった。
そんな休み時間、菫がトイレに行っているときに梶原くんに声をかけられた。
「ねえねえ、正田ってさ絶対永井のこと好きやよね?」
「あ、やっぱり?それさ、うちも気づいとった。」
「永井はどうなの?」
「んあー・・・、多分両思いじゃない?わからんけど。」
「おお。両思いやったらそのうちカップルになる感じじゃね?楽しみ〜」
と、まあ人の恋愛について語り始める音楽バカ二人。
そんなことも知らずに帰ってきた菫はなぜか怒っていた。
「ねえ!菫さ、隣のクラスのあの子と絶対合わんわ!!」
「え、いきなりどした?」
「なんか、ジロジロ見てきて怖いし、話しても話全く聞いてないん!」
隣のクラスにはもう一人女の子がいた。
名前は吉岡美衣子よしおか みいこ。
見た目は地味なタイプではあるが、涙もろく優しい子。
「初めまして!私、吉岡美衣子!名前少し変わってるでしょ!?名前がユニークやから性格もユニークなん!」
と、明るく挨拶してきた彼女。
普通にいい子なのだが、この子は少々常識知らずだったり、何より空気を読まない。
というより、読めない。
私も若干苦手なタイプではあるが、いい子なので嫌いになったことは一度もない。
兎に角素直な子なのだ。
ぎゃあぎゃあ言っている菫を梶原くんと私で菫を落ち着かせ、
3人で仲良くおやつを食べていた時、話題の彼女がやってきた。
「そういえば、永井さんって肌黒いけど日焼けなの?それとも地黒?」
「は?」
「「(あ、地雷踏んだ。)」」
そう、菫は地黒で肌が黒いことがコンプレックスなのだ。
まさかのタイミングで指摘してきた美衣子はそんなことを知らないため、話をどんどん進める。
「私は元が地黒だけど、ほら部活がテニス部に入ったやん?やから、外周走ってるから日焼けして余計に黒くなってすごいことになってんのね?」
「・・・・・・。」
「(めっちゃ怒っとる)」
「この前から少し気になってたんよね!永井さんは地黒?日焼け?」
ぐいぐいくる美衣子に対して、イライラしている菫を見ていた私と梶原くんはいつ爆発するかビクビクしながら横で見ていた。
しかし、あまりにもしつこく聞いてくるため止めようとした時、
「ねえ。うるさいんやけど。」
「え?」
「あんたに菫のコンプレックスの話したわけじゃないから、悪気ないのわかるけどさ、その質問何回も聞かんでくれる?」
「あ、・・・ごめんね?」
「菫が黒いのは地黒。生まれつきなの。それとこの地黒なのはコンプレックス。次から肌のこと言わんで。腹立つから。」
「うん。わかった。ごめんね。」
結構ガツンと言った菫。
でも素直な美衣子はすぐに謝って授業が始まるからといって自分の教室へ戻っていった。
「んもー。腹立つなー・・・。」
「まあまあ。そんなかっかしなさんな。」
「俺は元が白すぎるから日焼けしたら真っ赤になるよ。特に鼻とか。」
「うわ。痛そう。」
「いいじゃん。夏終わったら白く戻るんやから。菫なんて年中無休肌黒いんだよ?」
「私も地黒やよ。」
「は?あんた喧嘩売ってんの?菫より白いやん。」
「え、そんなことなくね?同じぐらいやて。」
「うん。平沢と永井同じくらいやと思う。」
「んなわけないじゃ、・・・あ。ほんまや。菫と同じ色や。」
私と同じ地黒と知り、機嫌が戻った菫。
菫の欠点は一回怒ったら機嫌が戻るまで少し時間がかかる。
もし機嫌が戻らなかったら、後々私が大変な目にあうので早めに通常に戻ってくれてよかったと思った私でした。
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