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【第5話】下駄箱はゴミ箱じゃないよ!?
入学して1週間が過ぎた頃、奇妙な事件が起こる。
何故か目が覚めてしまい、することがなかった私は自転車に乗って早めに学校へ登校した。
自転車置き場に自転車を停めて、長すぎる階段を登って上履きを履き替えに下駄箱へ向かった。
下駄箱を開け、私は思考回路が停止した。
「・・・あ、大量のゴミやん。」
そう。
私の下駄箱は開封されたアイスの袋やお菓子の袋など大量のゴミが入っていたのだ。
別に虫が湧いていた訳でもなかったので、とりあえずゴミは分別して捨てた私は靴を履き替え、教室へ向かった。
誰もいない教室で一人だけの空間が割と好きな私は音楽プレイヤーを出して音楽を聴きながら菫が来るのを待った。
すると、一番目に来たのは梶原君だった。
「あれ?平沢じゃん。珍しい。」
「あー、朝早く起きて暇だったから来たんよ。」
「え?何時起きなん?」
「6時」
「え、早い。俺起きたの7時。」
「そうなんや。いつもこの時間に来るん?」
「うん。誰もいない教室が好きで早く来るん。」
「あー、ごめんね?今日は私が一番だわ。」
「ほんとにねー。取られちゃったよー。」
と、冗談混じりでいろんな話をしていた。
気づけばクラスメイトがゾロゾロやってきて、あるグループに目がいった。
あるグループとは、何故か結束力が強い野球部。
私を見るなり、くすくすと笑い始めて何やら楽しそうである。
何か顔についているのか?とまで思ったりしていたのだが、ある生徒の一言で別件だということに気がつく。
「下駄箱のゴミ気づかなかったのか?」
なるほど。君たちが犯人か。
初めは誰がしたことなのか検討もつかなかったが、その一言のおかげで核心に変わった。
だからと言って、先生に言うつもりもなければ、本人に言うつもりもない。
わざわざ本人に直接話ししたところで変わるわけもないし、先生に話したら間に介入されるのも面倒。
呑気に学校生活を送りたかったため、極力揉め事は避けたかったのである。
HRが始まる頃、菫が遅刻してやってきて、移動教室の際に下駄箱の件を話した。
「え!?それいじめやん!!」
「いじめなん?」
「当たり前やん!!あんたそれ歴としたいじめやて!!」
「ふーん。まあ、大したことないし、放っておくよ。」
「嘘でしょ!?」
いじめだと言い張る菫に対して、全く気にしていない私。
菫が心配してくれていたのは本当に嬉しかった。
ただ、1回ゴミを入れられただけで不登校になる訳でもないし、傷つけられた訳でもないし、何より菫じゃなくてよかったと思った私はその日もいつも通り学校生活を送った。
部活が終わった後に部室の窓から雨が降っていたことに気がつき、帰りは部活の先輩とバスに乗って帰った。
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