【第1話】トイレ事件

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【第1話】トイレ事件

2008年4月。 この春に私、平沢奏(ひらさわ かなで)は某県立高校へ入学した。 その過去の私の実体験を赤裸々に綴ったお話である。 私自身が非常に頭が悪く、志望校を選ぶ選択肢が3校くらいしかなかったため、制服の可愛さで選んだ高校が入学した高校だった。 私が入学した高校は元男子校で何年か前に共学になった学校だ。 しかも、オタクとヤンキーが集まる高校と言ったら悪いイメージしかないが、就職率は非常に高く、校舎の周りは緑が多く広々とした学校であった。 ちなみに偏差値は45とどうしようもなく低い。 学科は機械工学科、環境科学科(化学コース、土木コース)と2つの学科があり、私は環境科学科の化学コースを選択していた。 入学式の次の日にクラスに行き、知らない子がたくさんいた中、私は前から2番目の席に座った。 が、・・・ どこを見ても、男子男子男子男子男子・・・・・・ああ、男子。 そう、ここは共学ではあるが、9割は男子が占めているので裏では男子校と言われている県立高校であった。 1学年80人とった少数ではあるが、1クラス40人を詰め込んでいるのでまあまあ人数は多く感じた。 私の中では女子は1クラス10人くらいはいるんだろうなと思っていたが、全員集まってHRが始まり、周りを見渡してみると、私を含めて女子は2人のみ。 「・・・・・・あ、終わった。」 と思っていましたが、私自身が女子で群がることを好まないためある意味平和で過ごせるだろうなと切り替えた。 私と同じクラスになった女の子は永井菫(ながい すみれ)。 私よりも小柄で可愛らしい顔をした、クラスでモテそうな女の子。 そんな私は164cmのいかにもやんちゃしてそうな顔をした女子です。 そんな菫と私は初日から意気投合し、休み時間になるととにかく喋っていた。 しかし、菫の一言で事件が起こります。 「ねえ、奏。」 「ん?どしたん?」 「トイレどこなん?」 私達は後に「トイレ事件」と名付けますが、自分達の教室が3階にあってその階には女子トイレがなかった。 唯一、男子トイレだけ存在していたのだ。 トイレの場所を職員室にいる担任の先生に聞きに行き、驚きの回答を頂いた。 「あれ?HRの時に話したと思うけど、女子トイレは2階と別棟に1つしかないよ。」 流石、元男子校。 本当に女子は過ごしにくい環境である。 そして私と菫は2階のトイレを使うことになりました。 しかし、問題はもう一つあったのだ。 「着替えとかどうするんやろね?」 「ほんまや。どこでするんかね?」 菫の言う通り、これも重大な問題である。 男子と一緒に着替えることはないだろうから、更衣室になるのか? でも、学校自体古い建物だから更衣室があるのかも正直わからないところだ。 と、考えていた矢先のこと、次の日は体育だった。 なんだろうか、・・・嫌な予感しかしなかった。 初日は兎に角移動ばかり繰り返す大変な日でした。
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