28人が本棚に入れています
本棚に追加
「ねぇ、もう挿れたくなった?」
耳元で小悪魔が囁く。もう正常に頭が動かない翔太は、頷くことさえできなかった。それでも子悪魔は続ける。
「きっと気持ちいいよ。温かくはないけどさ、いっぱい締め付けて、搾り取って……」
そう言い終わる前に、忍は肩を掴まれて仰向けにされた。そこに覆いかぶさる翔太の目は、ギラリと怖いくらいに輝いている。そうして荒く息を吐きながら、忍の顔を睨み付けていた。
「好きにして、いいんだよな」
低く唸るような声に、最後の理性がそう問いかける。それはまるで共犯だと言わんばかりの、約束の確認。そしていまから忍を抱くという宣言でもあった。それに臆することなく、忍は優雅な笑みを湛える。
「いいよ、僕のこと滅茶苦茶にしても」
「お前……」
その先は「煽るようなことを」なのか、それとも「どうなっても知らないぞ」なのか。結局どちらも言えなくて、翔太は蕾に指を入れた。すると思っていたほどは硬くはなく、すぐにでも挿れられそうに緩くなっている。何故だろうなって考える余裕はないので、翔太はそこをたっぷりと舐めてから自身の先を押し付けた。そして一気に、胎内に侵入する。
「ねぇ……」
一番奥まで進むと、苦しそうに息を吐き出しながら忍が言った。しゅたが視線を上げると、その表情にギョッとする。さきほどまで自分を翻弄していた小悪魔が、泣きそうな顔で笑っていたのだ。二人の視線が絡まると、忍がもう一度呼ぶ。
「僕たちね、恋人同士だったんだよ」
忍の目の端から一筋涙が伝い落ちる。それを拭おうとしたのだが、あとからあとから零れて収拾がつかなくなっていた。それでも涙交じりに忍が言う。こんな大事な人を、自分は忘れてしまっているなんて。翔太は罪悪感と自責の念に苛まれた。
「本当に、大好きなんだ。だからまた会えて、こうして抱いてもらって。僕うれしい。うれしいの」
翔太の首に腕を絡ませ、離さないとばかりに強く抱きしめた。そうして今度は小悪魔ではなく、愛を確かめたい恋人として強請る。
「お願い、動いて」
最初のコメントを投稿しよう!